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給料を上げずに手取りを増やす。~非課税の食事補助の活用~

給料を上げずに手取りを増やす。~非課税の食事補助の活用~

「パートさんが頑張ってくれているから給料を増やしてあげたいんだけど、扶養内という希望もあってなかなか難しいんだよね…」

そんな声をよく聞きます。

月7,500円までの食事補助。
会社の経費になるうえに従業員の所得税もかからない
非常にコストパフォーマンスの高い福利厚生を検討してみてはいかがでしょうか?

令和8年(2026年)4月1日から、この非課税枠が約42年ぶりに月3,500円から7,500円へ拡大されました。今がまさに導入・見直しのタイミングです。

この記事では、制度の仕組みから導入の具体的な方法まで、経営者の方にわかりやすく解説します。

■食事補助が「得をする」理由

通常、従業員に何かを渡すと「給与」とみなされ、所得税・住民税・社会保険料がかかります。
しかし食事補助は、一定の条件を満たすとこれらがかかりません

給与として月7,500円昇給した場合と比較してみましょう。

検討給与として7,500円昇給食事補助として7,500円支給
従業員の手取り増加約5,000〜6,000円
(税金・社保控除後)
7,500円分そのまま
会社の実質コスト約8,600円
(社保会社負担分を含む)
7,500円のみ

従業員にとっては手取りが増え、会社にとってはコストが抑えられる。双方にメリットがある仕組みです。
年間にすると最大9万円(7,500円×12ヶ月)の非課税福利厚生が実現できます。

■非課税にするための条件(2つ両方必要)

食事補助を非課税にするには、次の2つの条件をどちらも満たす必要があります(No.2594 食事を支給したとき|国税庁)。

条件① 従業員が食事代の半額以上を自己負担していること

会社が全額負担はNGです。従業員も食事代の50%以上を支払う必要があります。

条件② 会社の負担額が月7,500円以下(消費税除く)であること

(食事の価額)-(従業員の負担額)が、月7,500円(税抜)以内に収まる必要があります。

重要:1円でも超えると全額が課税対象になります
たとえば会社負担が7,501円だった場合、超過分の1円だけでなく7,501円の全額が給与課税されます。「少しオーバーしてもいいか」は通用しません。

■「現金で渡す」はNG

「食事代として毎月7,500円を現金で渡せばいいのでは?」と思われがちですが、これは認められません。

現金で渡すと、従業員が食事以外に使えてしまうため「給与の一部」とみなされ、全額が課税対象になります。

非課税になるのは「食事そのものを会社が用意して渡す形式(現物支給)」に限られます。

支給の形態非課税の可否
仕出し弁当・社員食堂など現物を支給条件を満たせば非課税
食事専用ICカード・専用アプリで支給条件を満たせば非課税
「ランチ代として」現金を毎月支給全額給与課税
従業員が立替えた食事代を後で精算全額給与課税

■ 具体的な導入方法:チケットレストランが便利

社員食堂のない中小企業で最も導入しやすいのが、食事補助専用ICカードサービスの活用です。
代表的なサービスがエデンレッドジャパンが提供している「チケットレストラン」です。

仕組みはシンプル

  1. 会社がエデンレッドジャパンと契約し、従業員にICカードを配布
  2. 毎月、会社が設定金額をカードにチャージ(会社負担分+従業員負担分の合計)
  3. 従業員負担分は給与から天引き
  4. 従業員は全国25万店以上の加盟店でカードを使って食事を購入

使えるお店

セブン-イレブン・ファミリーマート・ローソンなどのコンビニ、ガスト・マクドナルド・吉野家・松屋などのチェーン店が加盟しています。
iD決済対応店舗であれば利用可能なため、全国どこでも使えます。

非課税要件との対応関係

非課税要件チケットレストランでの対応
①従業員が50%以上負担給与天引きで確実に徴収できる
②会社負担が月7,500円以下(税抜)チャージ金額の設定で管理できる
現物支給であること食事専用カードのため用途が限定されている
全従業員に公平に適用全員一律で配布できる

■ 安全な設計モデル(月19日出勤の場合)

設計で最も注意すべきは「出勤日数が多い月に上限を超えてしまう」リスクです。

1食あたりの会社負担金額で管理すると、出勤日数によって月の合計が変動します。たとえば「1食400円(税抜)」で設計した場合、22日出勤の月は合計8,800円となり上限の7,500円を超えてしまいます。

推奨する設計:月額上限を7,000円(税抜)に設定する

安全に運用するため、500円のバッファを持たせ、出勤日数にかかわらず月の会社負担合計が7,000円を超えたら打ち止めとする設計はいかがでしょう。

テイクアウト・月19日出勤・会社負担368円/日(税抜)を基準にした場合の弁当単価別シミュレーションです。

弁当単価(税込)従業員負担(税抜)従業員負担割合判定
700円280円40%NG(条件①満たさず)
800円372円46.5%NG(条件①満たさず)
900円465円51.6%OK
1,000円557円55.7%OK

※会社負担を368円(税抜)固定とすると、弁当単価が税込700円であった場合、税抜648円(8%税率)と368円との差額280円を従業員が負担するという設計です。

会社負担を368円(税抜)に固定した場合、食事代が安すぎると「従業員が50%以上を負担していること」という条件①を満たせなくなります。
税抜単価で約736円(税込だと約800円)以上の食事が前提になります。

■導入前に確認しておくこと

就業規則・給与規程への明記

食事補助の対象者・補助金額・利用方法を就業規則または給与規程に明記してください。給与明細にも従業員負担分の控除を明示する必要があります。

全従業員を対象にする

役員だけ・特定の社員だけへの支給は認められません。全従業員を対象とした制度設計が必要です。

社会保険への影響は社労士に確認を

所得税の非課税要件を満たしても、社会保険(標準報酬月額)への影響については別途確認が必要です。所得税と社会保険では判断基準が異なります。
導入・変更の際は社労士との確認を合わせて行うことをお勧めします。

■まとめ

令和8年4月から、食事補助の非課税枠が月7,500円(税抜)に拡大されました。ポイントをまとめると次のとおりです。

  • 会社負担が月7,500円以下(税抜)かつ従業員が50%以上負担すれば所得税の負担なし(社会保険については要確認)
  • 現金支給は対象外。食事の現物支給または食事専用カードが必要
  • 月額上限を7,000円(税抜)に設定し出勤日数変動リスクを遮断するのが安全
  • 社員食堂がない場合はチケットレストランなどの専用サービスが導入しやすい
  • 就業規則への明記と給与天引きの仕組みづくりがセット

賃上げほど大きなコストをかけずに従業員の実質手取りを増やせる、数少ない制度です。
採用・定着面でのアピールにもなります。

導入にあたって具体的な設計や規程の整備については、お気軽にご相談ください。
https://willight.info/contact/


※本記事は令和8年4月1日現在の法令等(国税庁 No.2594)および令和8年度税制改正大綱(2025年12月26日閣議決定)に基づいています。
社会保険の取り扱いについては社労士にご確認ください。個別の税務判断はご相談ください。

 

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